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更新 1997/6/4

Macintosh上の多言語環境
WorldScriptについて



1. スクリプトとは何か

ここで、言語とスクリプト、システムとソフトの違いを説明しておきましょう。

普通、チベット語とチベット文字とという言葉は区別されずに使われていますが、よく考えると、ローマ字で転写されたチベット語はチベット語ですが、チベット文字ではありません。逆にサンスクリット語をチベット文字で転写・表記することはできます。コンピュータが問題にするのは、言語ではなく、目に見える表記形態、すなわち文字の方なのです。

しかし、WorldScript が実現しているのは、単に文字の形、すなわちフォントの形を入力できるとということに止まりません。WorldScript は各言語のスクリプトの処理をコンピュータ上で実現していると言われます。この場合のスクリプトとは、単に文字の形の入力だけではありません。たとえば、
  1. 単語と単語の切れ目はどのように決定されるか
  2. 文字の書かれる方向はどのようになっているか
  3. 数字はどのように表記されるか
  4. 辞書の並び順はどのような規則になっているか
  5. 日付や数字、単位の表記の規則はどうなっているか
  6. 必要にして十分な文字のコードを確定し、さらにコードの並び方によって表示される文字の形がどのように変化するか
  7. キーボード上でのキー配列はどのようになっているか
などの規則を一つの書記体系について確定し、それをプログラムによって実現したものです。

実際には、チベット語のスクリプトに関しては、これらの諸動作が完全に実現されているわけではありません。しかし、通常のテキスト入力においてはほぼ問題のない機能を提供しています。またそのスクリプトの動作を補完するための様々なユーティリティを私が提供しています。チベット語スクリプトの具体的な機能に関しては後述します。

2. WorldScript について
アップル社は Macintosh OS で対応するスクリプトを次のように分類しています。
  1. 1 バイト系スクリプト
      単純なスクリプト (WorldScript I)
      1. 英・独・仏・その他のヨーロッパ系スクリプト(ただし、これらのスクリプトには WorldScript 機能拡張は必要ない。)
      2. キリル文字 (Cyrillic Language Kit)
    1. 複雑なスクリプト
      1. アラビア語 (Arabic Language Kit)
      2. ヘブライ語 (Hebrew Language Kit)
      3. タイ語
      4. インド系諸語 (Indian Language Kit)
      5. チベット語 (Tibetan Language Kit)
  2. 2 バイト系スクリプト (WorldScript II)
    1. 日本語 (Japanese Language Kit)
    2. 中国語(簡体字・繁体字)(Chinese Language Kit)
    3. ハングル (Korean Language Kit)
 少し、説明をしておきましょう。1 バイト系のスクリプトは必ずしもWorldScript 機能拡張を使用しません。たとえば、日本語の Mac OS で英語もフランス語やドイツ語などは、キーボード・リソース(それぞれの国旗のアイコンによって表されます。)を入れるだけで対応できます。
 WorldScript の機能が必要になるのは、英語などとはコード体系が全く異なる言語です。ロシア語などを入力するためのキリル系のスクリプトは、アルファベットのコードが英語などとは全く異なりますし、そのため辞書の並び替え方も独自の規則を必要とします。
 さらに、複雑な機能を必要とする言語は、「コンテキスト・センシティヴ」なスクリプトで対応します。コンテキスト・センシティヴとは、文字の前後の組み合わせにより、文字の形(これをグリフと言います)が変わることを指します。アラビア語やインド系諸語、そしてチベット語などは、ある種の文字の組み合わせがあると自動的にグリフの形が変わります。
 2 バイト系のスクリプトについては、日本語のみならず、中国語や韓国語に関しても、広く使われているので、その仕組みはお分かりのことと思います。

3. WorldScript に必要なファイル
 これらの WorldScript に対応した諸言語を使うためには、少なくとも、
  1. WorldScript 機能拡張(機能拡張フォルダーにインストール)。これには WorldScript I と WorldScript II の二種類があります。

  2. 各言語のスクリプトファイル(システムファイルにインストール)

  3. 各言語のフォントファイル(フォントフォルダーにインストール)

が必要です。アップル社が販売している各Language Kitは、これらのファイルを自動的にインストールしてくれますが、Tibetan Language Kit は、自分でこれらのファイルをコピーする必要があります。


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